「あの人が行ってしまった」突然、黎亞は林慶が離れていったことに気づいた。
夏星河と席牧白はすぐに見やると、確かに彼が一人で裏庭に向かっているのが見えた。
林家のこの婚約パーティーは、自宅の邸宅で開催されていた。
林家の邸宅はとても大きく、裏庭も広大だった。
夏星河は少し躊躇した後、直接言った。「彼に会いに行こう」
「いいね」席牧白も反対せず、どうせ今は運任せで探っているのだから、もしかしたら林慶から何か発見できるかもしれない。
夏星河たちも、静かに裏庭へと向かった。
林慶はこのような賑やかな場面が非常に嫌いだった。なぜならこれらの祝いごとは全て彼とは無関係だからだ。
そう、林家の全ては彼とは無関係なのだ。
彼は彼らの喜ぶ様子など見たくもなかった。それは自分の失敗と哀れさを際立たせるだけだから。
そのため彼はイライラしながら裏庭に来て息抜きをしようとしたが、誰かが追いかけてくるとは思わなかった。
「林慶さんですよね?」夏星河の冷たい声が突然後ろから聞こえ、林慶は疑問に思いながら振り返り、彼らを見るとすぐに表情を曇らせた。「お前たちか!」
席牧白と夏星河の姿は、彼も知っていた。
ただし林慶は彼らを見ても、表情が悪くなる以外には、激しい感情を示さなかった。
この点について夏星河は以前から気づいていた。
前の宴会場で、林慶は実は既に彼らを見かけていたが、ただ無視しただけで、彼らに怒りや憎しみを伝えることもなかった。
しかし知っての通り、夏星河が初めて林茜に会った時、林茜は彼女を殺したいほど憎んでいた。
なぜなら彼女は、林芸が彼らに巻き込まれて死んだと思っていたからだ。
林茜がそれほど彼らを憎んでいたのだから、道理で言えば、父親である林慶はもっと憎むはずだった。
しかし今、面と向かっても、夏星河は彼の目に何の憎しみも見出せなかった。
すぐに、夏星河は心の中の推測をより確信した……
林慶は依然として彼らを警戒していた。「なぜ私を追いかけてきた?何をするつもりだ?」
夏星河は唇を歪めて言った。「ただ一つのことをお話ししたいだけです。緊張しないでください」
「ふん、言うことがあるなら早く言え!」林慶は非常に苛立たしげに口を開いた。
夏星河は鋭く彼を見つめ、突然言った。「林芸を殺したのは私たちではありません——」