第658章 1人も逃がさない!

さらに卑劣なことに、林家の他の者たちは最初から最後まで一言も発しなかった。

これでは彼らが事情を知っていたのか知らなかったのか、全く判断できない。

林家の人々は本当に並大抵の人物ではない。突然正体を暴かれたにもかかわらず、こんなにも冷静でいられるとは。損失を最小限に抑え、そのような陰湿な心根に思わず憎しみを覚えずにはいられない。

彼らが罪を犯したことは分かっていても、罪に問うことはできない。

手元にあるのは親子鑑定の証拠だけで、林おじいさんが全ての責任を一身に背負ったため、林家を完全に潰すことなど不可能だった。

沈おじいさまは震えながら怒りに任せて指を突き付け、「林政華、お前は卑劣すぎる!林家の野心に満ちた狼の如き心根、卑劣無恥、全員が罪人だ!」と怒鳴った。

「その通りです。あなたたちは常に悪巧みをしていた。一人で全てを背負い、適当な言い訳で誤魔化せると思わないことです。林家の全員が調査を受けなければなりません!」大統領夫人も威厳を持って言った。

林おじいさんは深い悔恨の表情で言った。「信じるか信じないかは別として、理由はそういうことです。我が林家には悪巧みも陰謀もありません。私が子供を取り替えたのは、一時の欲望からでした。しかし過ちは既に起こってしまい、私にはもう何も挽回できません。だから私はこの責任を引き受け、どのような処分でも構いません。」

「どのような処分だと?」夏星河は突然冷笑し、鋭い目つきで彼を見つめながら言った。「他にどんな処分があるというのだ?この罪状は大きくも小さくもない、おそらく裁判すら必要ないだろう。林おじいさん、よくもそんな算段を立てたものだ。これで林家を守れると思っているのか?残念だが、今日、林家は全員道連れだ。誰一人として逃がさん!」

そう言うと、夏星河は大統領夫人の方を向いて言った。「夫人、私にはもう一人重要な証人がいます。入室を許可していただけますか。」

大統領夫人は一瞬驚いた後、期待と興奮を隠せない様子で「よろしい、入室させなさい!」と言った。

夏星河は席牧楠を一瞥し、後者は意を汲んで外へ出て行った。

林おじいさんの心は再び不安に駆られた。

林家の人々も同様に動揺していた。夏星河は一体どんな証人を連れてきたのか?

林軒は夏星河を冷たい目つきで睨みつけ、思わず指を動かした。