第17章 明霜と何も争わない

彼女はさらに蘇言深に向かって舌を出して変顔をした。

　　この変顔は、以前の俞晚晚が蘇衍深に対して最も好んでしていたものだった。

　　蘇言深はそれを見て一瞬驚いたが、すぐに何かに気づいたかのように、明霜に笑顔を向けた。「行こう」

　　甘やかすような口調で。

　　彼が先に歩き、明霜がすぐ後に続いた。

　　みんなが言うように、二人の後ろ姿はとてもお似合いに見えた。

　　俞晚晚は急に寒さを感じ、両腕を抱きしめて、うつむいて少し笑った。そして再び顔を上げると、見慣れた男の姿が戻ってきて、殺気が押し寄せてきた。

　　俞晚晚は驚いて目を見開いた。男は彼女を壁に押し付け、上から警告の声が響いた。「明霜に近づくな。もし彼女に何かしようとしたら、お前の両足で償わせるぞ！」

　　彼の目は血走っていて、膝で俞晚晚の右太ももを強く押さえつけ、体が震えていた。このままで俞晚晚の骨を砕いてしまいたいかのようだった。