第84章 小諾ちゃんを実の娘のように扱えるのに

康健病院はA市番州區にあり、全国でリハビリ医療のランキング1位の病院である。

  もう深夜で、病院内は静かで重苦しい雰囲気だった。

  蘇言深は回廊の石柱に寄りかかり、3本目のタバコを吸い終えたが、蘇安恒の病室エリアに足を踏み入れようとしなかった。

  50歳くらいの女性が蘇安恒の病室エリアから歩いてきた。

  彼女は遠くから蘇言深を見つけ、近づいて優しく尋ねた。「言深、こんな遅くにどうしたの?」

  蘇言深は軽く頷いて、「潘おばさん」と言った。

  潘鳳は蘇言深を育てた使用人で、蘇安恒がここに送られてからは介護の訓練を受け、長年ここで蘇安恒の世話をしていた。

  彼女は蘇言深になぜここに立っていて入らないのか聞かなかった。蘇言深はよくこうしていて、来てはまずここに長時間立っていた。最長で1時間以上立っていたこともあり、ほとんどの場合は病室に入らずにそのまま帰ってしまう。