やれやれ、「王八」って言葉が口をついて出そうになった。
まさにハラハラする展開だ。
俞小滿は許昭の手の箱を見て、目を輝かせた。「わあ、10周年限定カード!パパでさえ買えなかったのに」
彼は両手で箱を奪い取り、急いで開けた。
興奮して箱にキスをした。
許昭は俞小滿の頭をポンポンと叩いた。「小満さん、先に車に乗って。ここに停めてると邪魔になるから」
俞小滿は素直に頷いた。「うん」
彼は車に乗り込み、後部座席に座った。
蘇言深は許昭に尋ねた。「いつ買ったの?」
あの子の言い方だと、かなり入手困難なようだった。
だから許昭がどうやって手に入れたのか気になった。
許昭は小声で蘇言深に答えた。「さっき近くのスーパーで海賊版を買ったんだ」
蘇言深:「……」
彼は既に車に乗り込んでいる俞小滿を見た。カードを大事そうに抱きしめている。
眉をひそめ、「知能指数は遺伝するんだな」
独り言を言った。
許昭はよく聞き取れなかった。「蘇社長、何か言いました?」
蘇言深は彼を無視して、車に乗り込んだ。
蘇言深も後部座席に座り、ドアを閉めた。
俞小滿は彼を見て冷ややかに言った。「カードをくれたからって、好きになったりしないからね」
でも両手でカードをしっかり抱きしめ、蘇言深に取り返されないよう警戒していた。
蘇言深はさらりと答えた。「必要ない」
彼に好かれる必要はないという意味だ。
俞小滿は今は蘇言深と対決する気がなく、カードの研究に夢中だった。
突然、彼は眉をひそめた。「なんで同じのが2枚あるの?」
手に同じカードを2枚持って、許昭に見せた。
許昭:「……」
この海賊版、手抜きし過ぎだろ……
俞小滿にどう説明しようか考えていると、蘇言深の落ち着いた声が聞こえた。「違うよ」
俞小滿は眉をひそめて尋ねた。「どこが違うの?」
もう一度よく見たが、違いは分からなかった。
蘇言深は手を上げ、2枚のカードを指さした。「こっちは太って、こっちは痩せてる」