第153章 彼女自身が事件解決の手掛かりを断ち切った

許昭は礼儀正しい口調で返事をした。「俞さん、私は見ていませんね。」

  あぁ!

  俞晚晚はがっかりして電話を切った。

  その時、蘇言深はすでに階段を降りて、彼女のそばに近づいていた。

  彼女は蘇言深を見て、疑いを抱かずにはいられなかった。

  なぜなら、彼以外に可能性が思い浮かばなかったからだ。まさか家に泥棒が入ったのだろうか?

  泥棒が入ったとしても、あんなぼろぼろのカードを盗むはずがないよね!

  本当に信じられないことだ。

  彼女は少し考えて、蘇言深の後を追いかけながら尋ねた。「家の監視カメラはどこにあるの?ちょっと見てもいい?」

  彼らはすでに玄関に着いていた。

  蘇言深は冷ややかに鼻を鳴らした。「俞晚晚、家に監視カメラがあるのは嫌だと言ったのは誰だ?」

  「私は家に監視カメラがあるのが嫌だわ。これらの監視カメラは全部取り外して。」

  俞晚晚は反問されて言葉を失った。この家はもともと改装が終わった時に監視カメラが設置されていたが、彼女が引っ越してきた後に全部取り外してしまったのだ。

  事件解決の手がかりを台無しにしたのは他でもない彼女自身だった。

  彼女は蘇言深が出て行き、車に乗り込み、排気ガスを撒き散らしながら去っていくのを見つめた。

  地面には埃が巻き上がっていた。

  俞晚晚は悩ましげにドア枠に寄りかかった。

  携帯に通知が来た。低く頭を下げて見ると、1からのメッセージだった。「いつになったら送るんだ?」

  俞晚晚はうんざりした。「催促しないでよ。先にお金を返すから、口座番号を教えて。」

  1:「お前を見つけ出すまで待っているぞ。Yumだな。」

  俞晚晚は今になって小満さんの銀行カードを残したことを後悔した。1000万が振り込まれることがわかっていたら、自分のカードを使うか、俞子卿や黄おばさんのカードを使えばよかった。

  そうすれば小満さんを調べられることもなかったのに。

  この人はお金持ちで、しかも狂っている。もし小満さんのさらなる情報を調べ上げたら……

  とりあえずこの狂人を落ち着かせなければ。「わかったわ。今すぐ持っていくわ。」