蘇言深は章瀾を見ることをやめ、明霜の怪我した膝を見て、「病院に連れて行こう」と言った。
そう言いながら、身をかがめて明霜を抱き上げようとした。
方可欣が来た。
「明せんせいを見せてもらいましょう。私は中医です」
彼女は自信満々に明霜の前まで歩み寄った。
明霜は悔しそうに眉をひそめ、瞳に冷たい光が一瞬きらめいた。
さっきもう少しで蘇言深に抱かれるところだったのに。
これは間違いなく秦くんというあの賤女の考えだ。
「あなた……」章瀾は乱暴に明霜の前に立ちはだかり、「我々の明さんは病院の医者に診てもらいます。あなたなんかが中医だなんて」
彼女の声と口調の勢いは随分と抑えられていた。
方可欣は二つ返事で携帯から中医の資格証を取り出した。「これが私の中医推拿の資格証です。秦さんは私が中医を学んだことを知っていて、明さんを診させてくれるよう頼んできました。治療が遅れるのを心配したんです」