第347章 忘れないで、明霜はまだ罪を認めていない

喬慧喜は怒りの感情を抑えたものの、口調は依然として冷たかった。「芮敏、あなたは本当に言うことを聞かないわね」

芮敏は首を振って説明した。「私が自分で戻ってきたわけじゃないの。蘇さんが私を連れ戻したの」

俞晚晚が亡くなった後、彼女は喬慧喜によって国外に送られ、喬慧喜の許可なく帰国することはできなかった。

ましてや勝手に蘇安恒に会いに行くことなど。

芮敏の言葉を、喬慧喜は疑わなかった。純ちゃんの調査でも、蘇言深が芮敏を連れ戻したと報告されていたからだ。

彼女の口調は少し和らいだ。「それは知っているわ。言ちゃんには私から話をするから。今夜は私と一緒に帰りましょう。明日の航空券を手配してあるわ」

「私は...」

芮敏はいつも喬慧喜の言うことを聞いていたが、今回は躊躇した。それは名残惜しさからで、彼女はベッドに横たわる蘇安恒を見つめ、瞬く間に目に涙が溜まった。

この数日間、彼女はとても幸せだった。まるで蘇安恒と初めて出会った頃に戻ったかのように。たとえ蘇安恒が言葉を返してくれなくても、幸せを感じていた。

たった数日で、彼女はこの生活に執着してしまっていた。

喬慧喜は芮敏が蘇安恒を見つめているのを見て、再び怒りの色を浮かべた。「芮敏、忘れないで。まだ多くの危険が残っているのよ。明霜はまだ刑務所で罪を認めようとしないわ!」

その一言で芮敏は現実に引き戻された。芮敏は目を見開き、きらめく涙の中に諦めが混ざっていた。

彼女は唇を固く結び、しばらくしてから、うつむいて小声で懇願した。「おばさん、あと二日だけ、たった二日だけここにいさせてください」

彼女の視線は再び恐る恐る蘇安恒の方へ向けられた。

蘇安恒の顔を見た途端、喬慧喜は不満げに冷笑した。「言ちゃんは毎月明霜に面会に行っているのよ。明霜は今でも俞晚晚を殺したことを認めていない。言ちゃんが疑い始めたら、その結果は...」

蘇言深が疑い始めれば、必ず調査を続けるだろう。本気で調べれば、真相を突き止めないはずがない。

そうなれば、また何年も刑務所で過ごすことになる。あるいは二度と出てこられなくなるかもしれない。そうなったら...

もう二度と安恆に会えなくなる。彼女は刑務所も死も恐れていなかった。ただ、生きていながら愛する人に永遠に会えないことだけが怖かった。