第518章 以前の月色の秦くんであることを証明しなければならない

すぐに誰かが携帯を取り出し、「私が曲をリクエストします」と言った。

俞晚晚は一曲歌い終わり、ステージを降りて水を飲んで休もうとしたとき、後ろの大画面に突然花火が咲き、客席から拍手が起こった。

誰かが曲をリクエストしたのだ。

'俺様は超イケてる'という名前の人が、五萬元を使って難易度の高いフランス語の曲をリクエストした。

五萬元で一曲リクエストするなんて、やはり月の光には金持ちが絶えない。これは今夜一番高額な曲だった。

ホールの照明はこの高額な曲のために異なる色に変わった。これはルールで、五萬元未満は一つの色、五萬元は別の色、十萬元はまた別の色になる。

インフルエンサーの配信ルームのランキング1位2位と同じように、刺激的な消費だ。

ソファー席の客たちは、誰がリクエストしたのかと見回していた。

周部長は客がリクエストした曲名を見て、2階のVIP個室の人々がリクエストしたことを確認すると、急いで聞飛のところへ行った。「聞社長、2階のVIP個室は秦さんの同級生たちですが、彼らが秦さんに難しいフランス語の曲をリクエストしました。これは明らかに秦さんを困らせようとしているのではないでしょうか」

今の秦くんは昔の秦くんではない。以前なら、フランス語の曲など全く問題なかったのに。

聞飛は落ち着いて周部長に答えた。「気にするな」

彼は長い指で火をつけたばかりのタバコを挟み、周部長に答えた後、軽く一服した。

煙が彼の口から吐き出され、薄い層となって、彼の口角にかすかな笑みが浮かんでいた。

「え？」周部長は理解できずに瞬きをした。

これは火急の事態なのに、彼はこんなに落ち着いている。まさか秦くんをステージで困らせて恥をかかせるのを放っておくつもりなのか？

周部長が俞晚晚のためにどう対処しようか考えていると、聞飛の声が再び響いた。「彼女の同級生がそんなに金持ちなら、飲むお酒も一番高いものでなければならないだろう」

周部長はその言葉を聞いて聞飛を見つめ、彼の冷たい眼差しを見て瞬時に意図を理解した。「聞社長、分かりました」

見栄を張る客を絞るのは彼の得意分野だった。

みんなが誰がリクエストしたのか探し回って諦めかけたとき、突然2階のステージに面したVIP個室の照明が全て点灯し、全員の視線が上に向けられた。若者たちが大きなガラス窓の前に立っていた。