第610章 そこでイチャイチャしないで、香香がおむつを濡らしたよ

彼は足を上げて、駐車場の方向へ歩き出した。

こうすれば、もし知り合いの医師に会っても、何かを意図的に聞き出そうとしているようには見えないだろう。

王佳樂は周之旭と話す機会を大切にし、躊躇なく周之旭に答えた。「芮敏の死のせいで、彼女は職務怠慢で、その場で解雇されました。かわいそうなことに」

周之旭はさらに尋ねた。「その看護師の名前は？」

王佳樂は足を止め、眉をひそめて不思議そうに周之旭を見た。

周之旭は落ち着いて説明した。「私もかわいそうだと思ったんだ。うちの病院に空きがあるかどうか確認して、彼女を雇えるかもしれない」

それを聞いて、王佳樂はその看護助手を羨ましく思い、自分も明愛病院に行きたいと表明した。「周先生、私も明愛病院に行かせてください」

周之旭は微笑んだ。「あなたの履歴書を提出してくれれば、私から一言言っておくよ。さっきの看護師の名前も教えてくれれば、彼女に連絡させるから」

王佳樂はただチャンスを得ようとしただけだったが、こんなに簡単に話が進むとは思わず、嬉しさのあまり涙が出そうになった。彼女は周之旭の腕をつかんで言った。「周先生、みんながあなたを良い医師だと言うのも当然です。本当に優しい方ですね」

周之旭は軽く微笑み、頷いて、自然に王佳樂の手を離した。「で、その看護師は？」

「すみません、嬉しくて。彼女の番号を探します」王佳樂は謝るような笑顔を見せ、うつむいた瞬間に隠しきれない恥ずかしさを表情に浮かべた。彼女は携帯を取り出し、電話帳をめくりながら言った。「まだ消してないはずです」

そう言いながら、見つけた。「これです」

周之旭は急いで携帯を取り出し、呂曉敏の電話番号をメモした。

メモを取り終えると、彼は携帯をしまい、微笑みながら王佳樂に注意した。「まず私から話を通しておくから、このことはまだ広めないでね。第一病院に人材を奪っていると思われるといけないから」

王佳樂は頷いた。「はい、わかりました」

周之旭は「じゃあ、忙しいでしょうから」と言った。

「はい、周先生」

王佳樂は三歩ごとに振り返りながら、名残惜しそうに入院棟に入っていった。

周之旭は王佳樂を見ることなく、真剣な表情で俞晚晚に言った。「芮敏の死には何か不審な点があると常々思っていた。彼女はすでに危険な状態を脱していたはずだ」