蘇言深は足を止め、俞晚晚を見つめた。
「もし蘇社長のお母さんが極悪人だったら、蘇社長は親族でも容赦なく裁きますか?」
彼は俞晚晚が彼に尋ねた言葉を思い出し、ドアに踏み入れようとしていた足が前に進む勇気を失っていた。
ちょうどそのとき、小満さんが部屋から走り出てきた。まだ靴を履いておらず、蘇言深を見ると嬉しそうに笑顔になり、「おじさん」と呼んだ。
彼は蘇言深の前まで走り、その手を引いて中に入れようとした。
蘇言深は小満さんの嬉しそうな笑顔を見下ろし、心に後悔の念が急に湧き上がった。俞晚晚がどれほど困難な状況の中で小満さんを守ってきたかを思い出した。
何も顧みずに彼を探しに戻り、小満さんを救うために、彼の実母の手にかかって命を落としかけた彼女に、2年前の事故を水に流せと言う資格が自分にあるだろうか?