第700章 嵐を経験して得たものこそ大切にすべき

白繪寧はまるで自分の知っていることを、簡単な方法ですべて話し終えたようで、再び歩き始めた。

今回、俞晚晚は彼女の前に立ちはだかることなく、彼女の背中を見ながら尋ねた。「おばさん、これからどこへ行くの？」

白繪寧は振り返らず、俞晚晚に背を向けたまま首を横に振った。「わからないわ、あちこち歩き回るだけよ」

彼女は以前会った時とはまったく違っていた。まるで諦めたかのように、あるいはすべての希望を失ったかのようだった。

俞晚晚はしばらく呆然としていたが、やがて白繪珍の霊前に向かい、遺影に向かってつぶやくように尋ねた。「ママ、おばさんは何を求めているのかしら？」

彼女は三本の線香を取り、ろうそくで火をつけ、遺影に向かって拝んだ。

俞晚晚はソファで一晩中座り、少し居眠りをし、線香がなくなると新しいものを灯した。

夜明け近くになってようやく寄りかかって眠りについたが、紙を燃やす煙の匂いで目を覚ました。

驚いて目を開けると、蘇言深が白繪珍の霊前に跪いて紙を燃やしているのが見えた。彼女は少し驚いた。

あの世のお金はどこから？

彼女は立ち上がり、目をこすりながらそちらに歩み寄った。「これらはどこから来たの？」

蘇言深は答えた。「溫格さんが人に持ってこさせたんだ」

俞晚晚は眉をひそめた。「誰も弔問に来ないのに、彼はなぜこんなことをするの？」

彼女は、溫格さんがこれほど心を込めて母親の霊堂を設けたのは、自分が義理堅く人情味があることを示すためだと考えていた。しかし、母親はここでは誰も知り合いがおらず、彼ら以外に弔問に来る人はいないのだから、彼がこれらのことをする必要はないはずだった。

もしかして、彼とおばさんの関係のために、おばさんのためにしているのだろうか？

俞晚晚は不思議そうに白繪珍の遺影を見つめた。

線香がまた切れていた。彼女がちょうど灯しに行こうとしたとき、溫格さんがやって来た。

彼は黒いシャツと黒いスラックスを着ていて、がっしりとした体つきで、部屋に入ると光が少し暗くなったように感じられた。

溫格は入るなり俞晚晚を見て言った。「俞さんと蘇社長は昨晩一睡もしていないようですね。少し休んだらどうですか」

彼は足早に前に進み、白繪珍の霊前に直行した。

彼の言葉は少し主客転倒しているように聞こえた。ここは彼の家だが、ママは彼女のママなのだ。