063.他人の不要品を拾うのが好き

彼女は無意識のうちにこの可能性を信じようとしなかった。喬栩の前で、この僅かに残された「優位性」さえも失いたくなかったのだ。

  「私生児は私生児、結局は表舞台に立てない。私が要らないものを宝物のように自慢してくるなんて、滑稽だと思わない?」

  彼女の言葉に、外に立っていた陸墨擎の顔色は一層恐ろしいほど黒くなった。

  彼女が要らないもの?

  彼女は彼を要らないものに例えたのか?

  中から、喬栩の低い笑い声が聞こえてきた。皮肉な意味が濃厚だった。

  「遺伝というのは本当に不思議なものだね。あなたとあなたの母親は本当に似ている。二人とも他人が捨てた要らないものを拾うのが好きだ」

  「喬……喬栩、あなた……」

  蘇柔は喬栩のこの言葉に完全に打ちのめされ、目の奥は死んだように灰色になった。

  喬栩は先ほどの揉み合いで少し皺んだ服を整え、洗面所から出てきた。顔を上げると、外に立っている陸墨擎の鉄のように青ざめた顔が目に入った。

  彼の顔の険しい表情はすでにかなり明らかで、喬栩がそれに気づかないはずがなかった。

  これは愛する人が殴られたことを心配しているの?

  喬栩は彼をまっすぐ見つめ、挑発的に眉を上げた。「残念だったね、あなたの到着が遅かった」

  その無関心な口調には、自分が間違ったことをしたという認識は全くなかった。

  しかし彼女自身の心の中だけは分かっていた。陸墨擎の今の眼差しが、彼女の心にいくらかの苦さをもたらしていることを。

  本当に情けないね、4年という時間があっても、陸墨擎が彼女に与えるわずかな影響力を消すことができないなんて。

  陸墨擎が今夜何度も蘇柔を助けたこと、彼女はあまり表に出さなかったが、心の中では確かに痛んでいた。

  蘇柔の言うとおり、彼女が何度も攻撃的になったのは、本当に墨擎が原因だったのかもしれない。

  陸墨擎は顔を黒くして彼女の前に歩み寄り、彼女の細い腕を掴んだ。少し力が入っていた。

  「どうしてもそんな言い方をしなければならないのか?」

  「その汚い手を離しなさい!」

  喬栩の目には、冷たさ以外何も見えなかった。その冷たさと憎しみが、彼のわずかに残っていた熱意を少しずつ押し返していった。