081.栩栩はいつも私を驚かせてくれる

「墨擎、域」

  視線を向けると、陸おばあさまが介助者に付き添われて手術室の方へ歩いてくるのが見えた。

  「おばあさま」

  「おばあさま、どうしていらっしゃったのですか?」

  宋域が前に出ておばあさまを支えながら尋ねた。

  「瞳瞳の様子を見に来たかったのよ」

  陸墨擎はおばあさまの前に歩み寄り、言った。「おばあさま、手術は少なくとも8、9時間はかかります。お体が良くないので、先に戻ってお休みください。瞳瞳の状態に変化があれば、お知らせします」

  「そうですね、おばあさま。私たちもここで待っているだけです。先に戻ってお休みください。兄と私がここにいれば十分です」

  宋域も続けて言った。

  傍らにいた蘇柔は、こうして脇に置かれてしまった。陸おばあさまは彼女に一瞥すら与えなかった。

  蘇柔は陸おばあさまの心の中には喬栩というたった一人の孫嫁しかいないことを知っていた。そのため、陸墨擎と結婚したいのなら、まずおばあさまの壁を突破しなければならなかった。

  無視されているのを見て、蘇柔の心は少しも落ち着かなかった。宋域が話し終わると、すかさず割り込んだ。「そうですね、陸おばあさま。ここには瞳瞳を待つ私たちがいますから、先にお戻りになってお休みください」

  陸おばあさまの視線がようやく蘇柔に向けられた。この娘に対して、彼女は心の底から好きになれなかった。好きになれないだけでなく、むしろ少し拒絶感さえ感じていた。

  彼女はこの娘の心がとても純粋でないと常に感じていた。たとえ彼女が以前瞳瞳を救うために子宮を傷つけたとしても、それでもこの若い娘に好感を持つことはできなかった。

  しかし、彼女は結局のところ陸昕瞳の命の恩人だった。おばあさまは彼女を困らせることはしなかったが、特に熱心でもなく、ただ軽く一瞥した後、再び視線を孫に向けた。

  「梁さんから聞いたけど、瞳瞳の手術をする医者は栩栩なのかい?」

  「ええ」

  喬栩の名前が出ると、陸墨擎の表情は非常に良くなかった。ただ重々しく応じただけだった。

  それに対して宋域は、喬栩について話すとき、声に尊敬の念が満ちていた。「はい、おばあさま。確かに義姉が瞳瞳の手術をします。瞳瞳が前回早産したときも、義姉のおかげでした」