217.服を脱ぐ

「ありがとう」

　　喬栩は適当に返事をしながら、自分の服に残った汚れを見て眉をひそめ、嫌そうにベッドから降りた。

　　それを見て、陸墨擎は顔を曇らせながら近づき、冷たい声で言った。「こんな状態なのに、まだおとなしくしていられないのか？」

　　そのことを思い出すと、喬栩は腹立たしくなった。彼が近くにいなければ、吐くこともなかったのに。

　　目を上げて陸墨擎を睨みつけながら言った。「私に吐く能力があるって言ったんじゃないの？私に吐く能力があったんだから、あなたには出て行く能力があるんじゃない？」

　　「喬栩、お前は...お前は...」

　　陸墨擎は彼女を罵りたかったが、適切な言葉を探しても見つからず、最後には「恩知らずの腐った女め」と言い残し、足元のゴミ箱を蹴飛ばしてドアを勢いよく閉めて出て行った。

　　喬栩は彼のことは気にせず、ベッドから降りて洗面所に向かおうとしたが、立ち上がるや否や再び目まいがして一歩も動けなくなった。

　　彼女はベッドに座って休むしかなかったが、体のべたつく感覚と汚れから漂う酸っぱい臭いに、喬栩は耐えられなくなっていた。

　　仕方なく、彼女は歯を食いしばって再び立ち上がろうとした時、部屋のドアが再び開いた。喬栩は当直の看護師が来たのかと思い、助けを求めようとしたが、顔を上げた瞬間、陸墨擎が戻ってきたのを見た。

　　彼は戻ってきただけでなく、病院の患者服を着て戻ってきたのだった。

　　喬栩は「...」

　　陸墨擎は無表情で彼女に近づき、手にはもう一組の患者服を持っていた。

　　手の中の患者服を彼女の手元に投げ、「服を着替えろ」と言った。

　　喬栩は一瞬呆然とし、陸墨擎のこの突然の行動に言葉を失った。陸墨擎は無表情で言った。「こんな臭い服を着替えたくないのか？何をしたいんだ？」

　　喬栩は「...」

　　彼女が着替えたくないわけではなく、ただ彼の突然の帰還に言葉を失っただけだった。

　　体はべたべたして臭いので、我慢できるはずもなく、脇に置いてある服を掴んで洗面所に向かおうとした。しかし、立ち上がるや否や、体が明らかに二度揺れた。

　　陸墨擎は反射的に手を伸ばして彼女の腕を支え、眉をひそめて、すぐに前に出て喬栩を抱き上げ、洗面所に向かった。

　　「陸墨擎、あなた何をしようとしているの？」