398. 少し卑猥な笑み

「墨擎、どうしてここに来たんだ？」

　　ベッドに寄りかかって新聞を読んでいたおじいさまは老眼鏡を外し、陸墨擎を一瞥して何気なく尋ねた。

　　陸墨擎はおじいさまの前に座り、明るく笑いながら言った。「おじいさま、わざわざお礼を言いに来ました」

　　この熱意は少し度を超えていた。

　　喬栩は、いつもクールな陸墨擎が突然あちこちに顔を出す世話焼きおばさんのような態度を取るのに慣れず、見ていられなかった。

　　喬栩だけでなく、喬おじいさまも陸墨擎の突然の熱意に耐えられないようだった。彼の体が丈夫でなかったら、この様子に驚いて気絶してしまうところだった。

　　「何のお礼だ？」

　　「スープを半分分けてくださって、ありがとうございます」

　　喬栩：「……」

　　喬寵兒：「……」

　　喬おじいさま：「……」

　　おじいさまは目を上げ、陸墨擎に含みのある視線を送り、思わず舌打ちした。

　　この小僧はスープを飲んだことがないような顔をしているが、どういうことだ？

　　「ふふっ！」

　　彼は少し意味深な笑いを浮かべた。「なぜか、うちのいつもケチな料理人が今日は二人分のスープを作ったんだ。私も全部は飲めないから、お前に分けてやったんだよ」

　　喬栩：「……」

　　陸墨擎：「……」

　　おじいさまの言葉を聞いて、陸墨擎はまず表情を固めたが、すぐにおじいさまの言葉の意味を理解し、すぐに喜びに満ちた。

　　まだドアのそばに無表情で立っている喬栩に目を向け、目の中の笑みがさらに深くなった。

　　「さあ、お礼も言ったことだし、さっさと休みに戻りなさい。お前たちも帰りなさい。私も休むから」

　　おじいさまは手の中の新聞を置いて、人々を追い出すように言った。

　　おじいさまが休むと聞いて、病室の人々はもちろんそれ以上留まらず、次々と病室を出た。

　　喬栩と喬寵兒が一緒に歩いていると、陸墨擎も無理やり喬栩の隣を歩こうとした。喬栩は目で離れるように合図したが、彼は見なかったふりをした。

　　「おばさま、栩栩とちょっと話があるんですが、一緒に来ますか？」

　　陸墨擎は横にいる「喬ちゃん」を見てにこやかに言ったが、目の奥には十分な「歓迎しない」という気持ちが表れていた。