416.愚かで利己的

「たかが一億や二億？陸家のお金は風が吹いて集まってきたとでも？お兄様はまだ十代で陸氏を救うためにどれだけ尽くしたか、あなたは知っているの？」

「たった一億や二億だって！よく言えたものね！今の陸家にとってこの程度の金額は大したことないかもしれないけど、それでもお兄様が一生懸命稼いだお金よ。よくも他人のために兄を非難できたわね？」

「あなたが何不自由なく陸家のお嬢様として暮らせているのは、お兄様が頑張ってきたからよ。あなたじゃないわ！何も貢献していないくせに、恥知らずにもそんなことが言えるなんて！」

陸おばあさまは、陸昕瞳のあまりにも愚かな言葉に本当に腹を立てていた。

「いいわ。そんなに蘇柔のことを考えているなら、いいでしょう！陸氏が被った損失を、宋域に蘇柔の代わりに支払わせなさい。そうすれば、お兄様に彼女を許すよう考えてみましょう。」

陸昕瞳はこの言葉を聞いて、すぐに不満そうな表情を浮かべた。

「なぜですか？宋家のお金だって風が吹いて集まってきたわけじゃないでしょう！」

「はっ！宋家のお金は風で集まったものじゃないのに、お兄様のお金は風で集まったものだというの？」

陸おばあさまは陸昕瞳にますます失望し、もう話を続ける気にもなれなかった。「出て行きなさい！陸家から出て行きなさい。」

陸おばあさまは怒りで杖を地面に叩きつけながら、執事に命じた。「執事！今後、陸昕瞳が陸家に現れたら、足を折って追い出しなさい。」

「おばあさま！」

陸昕瞳はおばあさままでも自分を追い出そうとするとは思わず、信じられない様子で目を見開いた。お兄様が喬栩という賤女に惑わされているのはまだしも、どうしておばあさままでこんなに理不尽になってしまったのか。

柔ちゃんがいなければ、お兄様の今日はなかったはず。八年前に陸氏は倒産していたかもしれない。おばあさまはそれを考えもせず、どうして柔ちゃんを刑務所に入れるような恩知らずな真似ができるのか。

「お兄様の言う通りね。たとえあなたが半身不随になっても、宋家は簡単には返品しないでしょうね！」

そう言うと、おばあさまは怒りで体を震わせながら階段を上り、もう陸昕瞳を見ようともしなかった。

「おばあさま……」

「出て行きなさい！！」

陸おばあさまだけでなく、陸家の使用人たちも先ほどの陸昕瞳の無神経な言葉を聞いて怒りを覚えていた。