476.陸社長は甘えん坊な小悪魔ちゃん

自分の嫁を得るために陸夫妻に娘を産むよう執拗に勧めていたデブ兄さんは、ようやく両親に連れて帰られた。

デブ兄さんが去った後、陸墨擎は立ち上がってゆっくりと喬栩の側に歩み寄り、彼女の赤くなった顔を見つめながら、手を伸ばして頬に軽く触れ、艶めかしく笑いながら言った：

「奥さん、うちの息子はもう嫁を見つけたんだから、他人の息子を独身のままにしておくわけにはいかないだろう。それなら……」

陸墨擎の言葉が終わらないうちに、喬栩は彼の脛を強く蹴った。「入場の時間よ、並びに行きましょう」

「さっきの提案は……」

陸墨擎は諦めきれず、珍しく奥さんが恥ずかしがっているのだから、もう一押ししなければと思った。

喬栩は彼の目に溢れる期待を冷ややかに見つめ、冷笑しながら言った：「そんなに娘が欲しいなら自分で産めばいいじゃない。私が止めてるわけじゃないでしょう。なぜ私に聞くの？」

そう言うと、息子の手を引いて急いで列に並びに行った。

陸墨擎は一瞬呆然としたが、すぐに彼女の言葉の意味を理解し、心中で不満を覚えた。

顔を曇らせ、急いで彼女の後を追いかけ、手を取って身を屈め、耳元で囁いた：「僕は君との間の娘しか欲しくないんだ」

運動場には各クラスの保護者が集まっており、陸墨擎が彼女の耳元で話をする仕草は、他人から見ると頬にキスをしているように見えた。

まるで無尽蔵であるかのように、イチャつきっぷりを見せつけていた。

人目が気になって少し居心地が悪くなった喬栩は、陸墨擎の手を振り払い、警告するような目つきで言った。「外では慎みなさい」

本来は彼に距離を置いてほしい、人々の想像を掻き立てるような親密な仕草は控えてほしいという意味だったが、陸墨擎は意図的に理解力を下げているようだった。

喬栩がそう言うと、彼の顔に浮かぶ艶めかしい笑みは収まるどころか、さらに大胆になった。

「つまり、家の中なら遠慮しなくていいってことだよね？」

喬栩に振り払われた手は、また厚かましく近づいてきて、しっかりと掴んで離そうとしない。

彼らを見つめる周囲の人々：「……」

外では常に近寄り難く、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している陸家の当主が、私生活ではこんなにべたべたする「小悪魔ちゃん」だとは思いもよらなかった。

むしろ彼の奥さんの方が、クールな社長のような雰囲気を漂わせていた。