519.息子と遊ぶ約束はどうした

一家三人が団地から出てきて高級車に乗り込むのを見て、人々の喬栩に対する目線が変わった。

愛人にも上下があり、陸墨擎の愛人になれるなんて、一生正妻になれなくても、多くの人が及ばないことだ。

あの目がくらむような限定版ベントレーを見てみろ、彼らの人生で目の保養にしかならない。乗るどころか、触れるのも身の破産を恐れるほどだ。

週末の遊園地は、前回の中秋節の休暇の時と比べても人が少なくなかった。

寒い日でも、遊びに来る人は多かった。

車が遊園地の入り口に停まった。前回、喬栩の車で来た時は、そこまで目立たなかった。

しかし、中国全土でも二台とない限定ベントレーが停まると、遊園地の入り口で多くの人がこの車について話し始めた。

車から降りてきた一家三人を見て、人々は思わず深いため息をついた。

この一家三人の容姿は、この車以上に目を引くものだった。

なんと!陸墨擎だ!!!

次々と陸墨擎だと気づく人が出て、こっそりスマートフォンを取り出して写真を撮り、車と人をウェイボーに投稿しようとした。

しかし、投稿してから2秒も経たないうちに自動的に削除されていることに気づいた。

信じられない人がもう一度投稿してみたが、同じ結果になり、さらに驚いた。

この陸墨擎の手腕はすごすぎる、こんなに短時間で投稿を削除できるなんて?

彼らが知らないのは、前回喬一がトレンド入りして以来、彼が某SNSに特別な注意を払い、彼のプライベートに関することは一切ウェイボーに掲載させないようにしていたことだ。

だから彼らの投稿はすぐに削除されたのだ。

多くの人が以前のトレンド入りした投稿を見ていたが、その時の写真には陸墨擎と彼の私生児しか写っておらず、愛人は写っていなかった。今回、彼らは陸墨擎の謎の愛人でネットの注目を集めようとしたが、投稿があまりにも早く削除されてしまった。

人々が何を考えているか、陸墨擎夫妻は知る由もなく、息子を連れて園内に入り、各アトラクションを楽しみ始めた。

前回のジェットコースターでの恐ろしい経験以来、喬栩はここのどのスリル系アトラクションにも近づきたがらなかった。

しかし喬一は小さいながらも胆が据わっており、身長も120cmを超えていたため、陸墨擎が付き添ってアトラクションに乗る時も、誰も止めなかった。