715.これこそ家門の不幸

どうして母親の顔を潰すようなことを、他人に話すことができるのだろう。

秦舒宜は心の中で陸墨擎を恨んでいたが、今回息子に用事があることを思い出し、怒りを抑えた。

「私が行き過ぎ？あなたは恥知らずなのに、人の目を気にするの？」

喬栩は冷ややかに笑い、秦舒宜を見て言った。「あなたが墨擎についてここまで来た理由は知らないけど、一つだけ言っておくわ。彼を利用しようなんて考えないことね！」

秦舒宜は不倫のことを義理の娘に暴露されて恥ずかしさと怒りで一杯だったが、今喬栩の言葉を聞いて、それが図星だったのか、それとも喬栩に誤解されたと感じたのか、声を荒げた——

「勝手な決めつけはやめなさい。墨擎は私の実の息子よ。私が彼を利用するわけがないでしょう。陸家にあなたのような離間を図る嫁がいるのが、本当に不幸なのよ」

おそらく秦舒宜の厚かましさに腹が立ちすぎて、喬栩はかえって笑みを浮かべた。

「あなたが早々に出て行ってくれて感謝してるわ。お義母さまにあなたのような嫁がいたことこそ、家の不幸だったわね」

喬栩は秦舒宜の言葉を借りて反撃した。

「それと、秦さま……」

彼女は呼び方を変えた。今では嚴おくさまと呼ぶのも吐き気がする。

「前に嚴さんにも言ったけど、もう一度あなたにも言っておくわ。私は生まれつき反骨精神の持ち主で、人の言うことを聞くのが大嫌い。墨擎はもう母乳が必要な年齢じゃないし、たとえ彼が将来あなたを陸家に迎え入れたとしても、私の前で威張るなんて考えないことね」

そう言い終わった時、ちょうど夏語默が病院から出てきたのが見えた。彼女は秦舒宜とこれ以上話す気もなく、直接夏語默の方へ歩いて行った。

しかし秦舒宜は今回喬栩を止めたのは、口論をするためではなかった。先ほど年下の者にこんなに説教されたのに、このまま彼女を行かせるわけにはいかなかった。

「待ちなさい。まだ話は終わっていないわ」

秦舒宜は顔を引き締めて、喬栩の行く手を遮った。

喬栩は目の前に差し出された細い腕を見下ろし、軽く笑って言った。「いいわ、話してみなさい。でも私にはそんなに時間はないから、威張って無駄な話をするなら、時間の無駄よ」

「あなた……」