760.心が冷めた

母親の役割と父親の役割を比べてみると、やはり違いがあるものだ。

そう考えながら、彼女は乾いた唇を動かし、かすれた声で言った。「すみません、先に相談すべきでした……」

あなたの意見を……

後半の言葉を言い終わる前に、陸墨擎の「本当に俺のことを心に留めているのか」という言葉に遮られた。

彼の声に抑えられた怒りを感じ取り、喬栩の心にも苦みが広がった。

やはり秦舒宜のことなのか?

だから、彼女が薬を仕掛けて自分を台無しにしたのに、仕返しもしてはいけないというの?

でもあの時、彼女の潜在意識の中では、自分が何をしても陸墨擎は自分の味方でいてくれると信じていた。

彼女は目を伏せたまま、しばらく黙っていた。長い沈黙の後、少し意地を張るように口を開いた。

「ごめんなさい。」

「ごめんなさい?」

陸墨擎は冷笑した。「そんなに手際がいいなら、謝る必要なんてないだろう。」

そう言って、彼は喬栩の横を通り過ぎて浴室から出て行った。その皮肉めいた口調に、喬栩は思わず眉をひそめた。

彼女は振り返って、書斎へ向かう男の背中を見つめ、その眼差しは少し暗くなった。

彼女はもう何も言わず、その場に立ち尽くしたまま、心が少しずつ冷めていくのを感じた。

しかし次の瞬間、書斎に入ったばかりの陸墨擎が、再びドアを開けて出てきた。顔を曇らせながら大股で彼女の前まで来ると、歯がゆそうに、かつ彼女に対して為す術もないという様子で言った。

「今夜がどれだけ危険だったか分かっているのか?」

喬栩は一瞬戸惑い、陸墨擎の言葉の意味が分からないうちに、さらに彼は続けた。

「もしあのウェイターが意図的に秦舒宜母娘の計画を教えに来たのだとしたら、お前はそのままあのワインを飲むつもりだったのか?」

この時、陸墨擎はこの島の採用制度の厳しさに感謝していた。内部犯行を防ぐため、彼らは採用時に、これらの人々の家族を三代前から三代後まで徹底的に調査し、島の人々が簡単に買収されないよう確認していた。

しかし、人の心は測り知れない。どんなに万全の準備をしていても、予期せぬ事態は起こりうる。

今夜、島に侵入して彼を殺そうとした数人のように。

島のセキュリティがどんなに完璧でも、彼らは侵入してきたではないか?