773.何を突き止めたのか

「おばあさまの話によると、陸家のほぼすべての財力と人力、物力を尽くし、大統領からも多くの人が派遣されたそうですが、飛行機の残骸とお父さまの遺体以外には、パイロットやブラックボックス、そしてお父さまの当時の秘書も見つからなかったそうです。

これまでの年月、私はずっと父の事故現場で捜索を続けさせていましたが、最近になってようやく少し手がかりが見つかりました。」

ここまで話して、陸墨擎は言葉を切ったが、喬栩は彼の周りの空気が急に冷たくなったのを感じた。

彼女は少し考えてから、おぼろげながら察して言った。「お父さまの事故現場は、陸島の近海だったの？」

この陸島が陸墨擎の私有地だと知った時、彼女は島の場所選びが下手だと冗談を言ったことがあった。

太平洋海域には孤島が多く、自然の景観も陸島に劣らず、むしろもっと美しいところもある。

気候が良いだけでなく、交通の便も陸島より良いのに、彼は費用対効果が低く、交通の便が悪く、さらに大量の資金投入が必要な島を選んだ。

金持ち過ぎて使い道に困っている以外に、喬栩には陸墨擎がなぜこんな辺鄙な島を選んだのか全く理解できなかったが、今、陸墨擎から父の死が事故ではなかった可能性を聞いて、彼が陸島を買い取った理由がすぐに分かった。

彼女がそこまで察したことに、陸墨擎は特に驚かなかった。

結局のところ、彼の奥さんはいつも賢く機敏だった。

彼も喬栩に隠し事をせず、頷いて言った。「当時、東南アジアから出張を終えて帰国する予定だったのに、途中でオーストラリアの方向に針路を変更し、その後飛行機は海底に墜落しました。しかし今でもブラックボックスは見つかっておらず、当時機内で何が起きたのか、なぜ突然方向を変えたのか、父がオーストラリアで何をしようとしていたのか、これまで何年調べても分かりませんでした。」

「そのパイロットは問題なかったの？パイロットが強制的に航路を変更して、その後事故が起きた可能性はないの？」

「そのパイロットは父の腹心で、私もここ数年そのパイロットの経歴や父について働いていた期間の行動を全て調査しましたが、怪しい点は何も見つかりませんでした。」

「副操縦士は？」

あのような私用機には、必ず副操縦士が配置されているはずで、パイロット一人で操縦することはありえない。