787.宋域が私に優しいのは当然のこと

「陸昕瞳、申し訳ないが、あなたの兄があなたを宋域に嫁がせたのは、彼に災いをもたらすようなものよ。あなたは...全く相応しくないわ！」

陸昕瞳は喬栩のこの非難に対して、顔を青ざめさせながら怒りを覚えた。しかし、彼女は喬栩が彼女を罵る言葉だけを聞き入れ、喬栩が語った宋域が彼女にどれほど優しく、すべてを包容してくれたかという話は、一言も耳に入れなかった。

明らかに、彼女は最初から最後まで、宋域の優しさを当然のことと考え、まったく心に留めていなかった。

「喬栩、あなたなんか何様のつもり？私を説教する資格なんてないわ。宋域が私に優しいのは当然でしょう。私は彼の奥さんなのよ。私に優しくしないで、あなたに優しくするとでも？」

喬栩は言いたかった。宋域はあなたの夫なのに、あなたが彼に優しくしているところなんて見たことがないと。

しかし考え直してみると、この人とは道理が通じない。どんなに理を説いても、彼女は都合の悪いことは聞き流すだけだ。

自分のような短気な性格でさえ、かつて陸昕瞳を3年も我慢できたのだから、宋域のような温厚な人が陸昕瞳を何年も我慢できたのも理解できる。

よし、彼女が他人の目を借りて自分に泥を塗りたいなら、この世界で彼女と同じような価値観を持つ人がどれだけいるのか、見せてやろう。

「あなたたち夫婦の問題には関わりませんが、陸昕瞳、心に手を当てて考えてみなさい。私があなたに何か悪いことをしましたか？」

「あなたは...」

「あなたは何度も自分の兄に女を斡旋し、兄嫂の関係を何度も壊そうとした。自分の兄に愛人を探すことをこんなに堂々とする人を見たのは初めてよ。小姑が兄嫂の寝室にまで口を出すなんて、随分と出しゃばりね。」

陸昕瞳は喬栩に何度も先手を打たれ、さらに顔色を青ざめさせた。

周りの、もともとこの豪門の騒動を覗き見たがっていた見物人たちは、喬栩の言葉を聞いて、すぐに陸昕瞳を見る目が変わった。

「この陸おじょうさまは本当に笑えるわね。自分の兄に愛人を探すなんて、昔なら遊女屋の女将と何が違うのかしら。」

「そうよね？自分の義姉に命を救われたのに、感謝するどころか、こんな悪毒な手段で相手の評判を落とそうとするなんて。」