第98章 面白い人

韓森は唐真流に近づき、短剣を逆手に握った。この短剣の握り方も伊東木を真似たものだった。

唐真流との距離が2尺に満たないところまで来たとき、韓森は突然短剣を振り上げ、予想外の角度から唐真流を突いた。

方景奇は顔色を変えて見ていた。静かな男の目が少し輝き、唐真流は冷や汗をかいた。手にした刀で防ごうとしたが間に合わず、必死で体を横に傾けたが、それでも韓森の短剣が腰に刺さった。

「くそっ、お前の攻撃は伊東木に劣らないじゃないか？」唐真流は目を見開いて韓森を見つめ、叫んだ。

方景奇も奇妙な表情で韓森を見つめ、静かな男の目も韓森の手に注がれていた。

韓森自身も少し驚いた。ここ数日『氷肌玉骨の術』を猛練習し、『神の手』で両手の訓練をしたため、以前より動きが速くなっていた。

先ほど伊東木の攻撃を見て新しい気づきを得、それを今使ってみたところ、韓森自身も予想していなかったほどの威力を発揮していた。

「ハハハ、これは天が俺様唐真流を助けてくれているようだな。お前を練習相手にできれば、本物の伊東木に会っても大したことはないだろう」韓森が答える前に、唐真流は勝手に大笑いし始めた。

一晩中、韓森と唐真流たちは眠らずに練習を続けた。実際に韓森と練習したのは唐真流だけで、方景奇は神戰に参加せず、静かな男も傍観するだけで参加する様子はなかった。

一晩中練習したが、唐真流は韓森が1尺以内に近づくと一度も韓森の短剣を防ぐことができなかった。防ぎ方を習得できなかっただけでなく、韓森の攻撃はますます奇怪で強力になっていった。

「くそっ、もう練習はやめだ。全然防げないじゃないか。天は俺様唐真流を滅ぼそうとしているのか？」唐真流は時間を確認し、もうすぐシェルターに行って神戰に参加しなければならないことに気づいた。これ以上練習しても意味がないと、ソファに崩れ落ちて不機嫌そうに言った。

「もう伊東木には対応できるだろう」ずっと静かに見ていた男が突然口を開いた。

「林さん、それはどういう意味だ？」唐真流は急に背筋を伸ばし、目を見開いてその静かな男を見つめて尋ねた。