第96章 恐ろしい天賦

秦萱は窒息感を覚え、狂ったように両手を動かしている韓森を見つめ、息をするのも忘れそうになった。

エボルバー3級難度のテストはすでに半分が過ぎており、韓森はまだミスをしていなかった。千手観音のように速く動いて残像を残すその両手に、秦萱はただ呆然と見とれていた。

テストはまだ終わっていないが、秦萱は韓森がエボルバー3級難度をクリアする可能性を確信した。これほど長く見てきた状況から、これは偶然ではなく、韓森が急速に進歩していることは明らかだった。

「エボルバー3級難度...これはエボルバー3級難度なのよ！」秦萱は突然喜びを感じ、自分自身を褒めたくなった。

彼女は韓森という人物を見出し、自分の小隊に加えることを主張した。そして今、韓森が示している潜在能力は、彼女の決断が正しかったことを証明していた。

「神の手持ち」のエボルバー3級難度をクリアできる未進化者の、両手の制御能力がどれほど強力になるか、秦萱には想像できた。彼が本当に戰甲の操縦を習得すれば、同レベルを圧倒する存在になる可能性があった。

「こんな能力を持ちながら、ただの狙撃手や射手になるのはもったいないわね。」秦萱の心に一瞬の迷いが生じた。この能力は、暗闇で銃を撃つよりも、遭遇戦での戰甲操縦者としての方が適しているように思えた。

しかし、韓森の慎重な性格を思い出し、秦萱はすぐにその考えを諦めた。彼は確かに近接戦闘には向いていなかった。

それでもこの発見は秦萱を喜ばせた。近接戦闘用の戰甲を操縦しなくても、韓森のような能力なら、複数の長距離射撃武器を搭載した戰甲の操縦に完璧に適応できるはずだった。彼以上に適任な人はいないだろう。

ピンッ！

鋭い音が秦萱の思考を中断させた。それはクリアを示す音だった。しかし、これはもはや秦萱を驚かせなかった。彼女はすでに韓森がエボルバー3級難度をクリアする能力を持っていると確信していたからだ。

クリア画面を見ながら、秦萱は韓森の恐ろしい潜在能力をより現実的に感じ、同時に彼女の決意はさらに固まった。

「この男、絶対に手に入れるわ。」秦萱は再びエボルバー3級難度のテストを開始する韓森を見つめ、目に熱い光を宿した。