第300章 お前に当てられるのか？

「誰のことだ？」韓森は楊曼麗のこの小さな動きにとっくに気づいていたが、指摘するつもりはなかった。

「上院の半神レベル議員楊修文の孫、楊子坤です」楊曼麗は直接楊子坤の状況を韓森に説明した。

十数日前、楊子坤は成人して避難所に入り、ランダムに鋼甲避難所に配属された。その後、鋼甲小分隊は上からの命令を受け、この楊子坤にできる限りの援助を提供し、彼の安全を確保するよう指示された。

楊子坤は名門の出で、教養も素質も申し分なかったが、十六、七歳の若造で、出自が高貴であり、幼い頃から優秀で目立っていたため、一見謙虚で礼儀正しく見えても、いったん決めたことは他人が考えを変えさせることは難しかった。

そして楊子坤は明らかに自信過剰か、あるいは高難度の挑戦を好む性格で、避難所に来て数日も経たないうちに、すでに変異生物に挑戦しようとしていた。ギャンブル中毒者たちは数日間付き添ったが、本当に楊子坤に命を危険にさらされそうになった。

楊曼麗も楊子坤を説得しようとし、一歩ずつ進むように、あまり急進的にならないようにと諭したが、楊子坤にとってはまったく効果がなかった。

「生死の間での挑戦でこそ深い悟りが得られる。極限の中で体得した武道こそが、武道の真髄だ...」楊曼麗は楊子坤がどこでこのような話を聞いたのか分からなかったが、彼女には楊子坤を説得する力がなかった。

上からの命令がなければ、楊曼麗は彼の生死など気にもしなかっただろうが、今は楊子坤を説得する方法を考えざるを得なかった。さもなければ、彼が死んで小分隊が処分を受けることになれば割に合わないからだ。

「私に任せなさい。明日の朝一番で楊子坤に会いに行くよ」韓森はにこにこしながら通信機を切った。

翌朝早く、韓森は鋼甲避難所に入った。夜が明けていないのに、すでに楊子坤に会うことができた。この若者は早朝から手裏剣の練習をしていたのだ。

楊曼麗は韓森を楊子坤に紹介した。楊子坤は確かに教養があり、明るく自信に満ちていて、人に好かれやすい大きな子供だった。少なくとも韓森から見れば、まだ子供でしかなかった。

「韓隊長、可能でしたら、暗黒沼での修行に人を付けていただきたいのですが」楊子坤はとても丁寧だったが、その言葉は人々の眉をひそめさせるものだった。