潔白の証明

総経理は少し驚いて「どういう第三の可能性？」と尋ねた。

森川辰は厳しい声で言った。「栗原愛南、ここで言い逃れるのはやめろ。素直に謝ったほうがいい。会社は初めての過ちだと考慮して、軽めの処分にしてくれるかもしれないぞ。」

江口亜英はすぐに彼女を見た。「栗原愛南、何か説明することがあるなら早く言え。一体何が起こったんだ？」

栗原愛南はゆっくりと言った。「もう一つの可能性は、森川辰のところに南條博士の企画書が届いていないということよ。彼は私を中傷しているのよ。」

「....」

これを言うと、江口亜英は怒りの目で森川辰を見つめた。

森川辰は彼女がそう言うとは思っていなかったようで、笑いながら言った。「学校にいた頃は、こんなに厚かましいとは気づかなかったな。もちろん、十分な証拠があるからこそ、君を告発しているんだ！」

江口亜英は尋ねた。「どんな証拠だ？」

森川辰は携帯を取り出し、スクリーンショットを開いて江口亜英に渡した。「これは昨夜、南條博士が栗原郁子に送った企画書だ。栗原郁子は用事があって遅れ、午後になって私に転送してきた。時間から見ると、南條博士の方が栗原愛南の提出時間より早いんだ！もしこれでも問題を説明するのに十分でないなら、証人もいるぞ！」

栗原愛南は目を細めた。

なんと、森川辰が悪さをしていたのではなく、栗原郁子だったのだ！

彼女はよく考えてみた。昨日退勤後、病院の2階を通りかかった時、栗原奥様が検査に行くところで、栗原郁子はちょうどお腹が痛くなり、彼女が付き添って行った...

その時、彼女のパソコンは病室に置いてあった。

しかし、彼女のパソコンにはパスワードがかかっている。栗原郁子はどうやって知ったのだろう？

栗原愛南の指が少し強く握りしめられた。

「これで言い訳できないだろう？」

森川辰は冷笑しながら総経理を見た。「この件は非常に悪質です。会社は栗原愛南に厳しい処分をしなければなりません！必要なら警察に通報することも可能です！南條博士のものまで盗むなんて、もしこのことを南條博士が知ったら、今後は森川グループとの協力を拒むかもしれません！」