第104章 断念!

誰も李浩轩のこの瞬間の無力な怒号に耳を貸さなかった。

  警察が録音を流した瞬間、記者たちは既に納得していた。

  警察は続けて言った。「もちろん、この録音だけでは彼が殺人犯だと証明することはできません。しかし、私たちは彼が捨てた携帯電話を拾い、中の設定を復元したところ、亡くなった方の数本の録音が見つかりました。栗原お嬢様が訪れた時の亡くなった方の言葉と同じでした。これにより、彼が栗原お嬢様が訪れる前に既に被害者を殺害し、栗原お嬢様に罪をなすりつけたことが十分に証明できます!私たちには逮捕するに足る十分な証拠があります。これが逮捕状です!」

  警察が逮捕状を提示すると、目の前の記者たちはすぐに散っていった。

  警察は直ちに広石博隆を拘束し、急いで連れ去った。

  ここでライブ配信は終了した。

  ……

  森川家。

  この突然の展開に、誰もが戸惑っていた。

  森川北翔は重々しい目つきで森川辰を見つめた。「栗原お嬢様は殺人犯ではない。今後二度とその呼び方を聞きたくない!」

  森川辰はむっとした。

  そのとき、外の執事が突然部屋に入ってきた。「ご主人様、外に警察が来ています。栗原お嬢様を警察署に連れて行き、事件の捜査に協力してもらいたいそうです。」

  森川辰はこの言葉を聞いて、再び精神が高ぶった。「小叔父さん、彼女が殺人犯でなくても、この事件と無関係ではありません!人が頻繁に警察署のような場所に行くのは縁起が悪く、森川家に住むのにふさわしくありません!」

  しかし、この言葉が落ちるや否や、執事は咳払いをして、おずおずと言った。「彼らが探しているのは……栗原郁子お嬢様です。」

  森川辰:!!

  彼は驚いて栗原郁子を見つめ、困惑して尋ねた。「君はこの事件とどんな関係があるんだ?なぜ彼らは君を呼びに来たんだ?!」

  栗原郁子は顔色が蒼白で、全身が慌てふためいていた。足取りもおぼつかない。この言葉を聞いて、呆然と森川辰を見つめた。「辰お兄さん、私、私は……」

  彼女の頭の中は広石博隆のことでいっぱいで、この瞬間、森川辰を慰める言葉が出てこなかった。