「……わかったわ」栗原愛南は言った。
「素晴らしい、孫の嫁よ。家に帰ろう!」
車はすぐに一号邸宅に入り、さらに10分ほど曲がりくねった道を進んでから、やっと森川家の門に到着した。
ここに来るのは初めてではなかったが、栗原愛南はこの邸宅の広さに驚嘆せずにはいられなかった。
栗原郁子が森川辰と結婚してここの女主人になりたがっていた理由がよくわかる。
そう考えていると、車は駐車場に到着した。
栗原愛南と森川北翔は森川奥様を支えて車から降り、居間に入った。
入ってすぐ、栗原郁子が森川辰に取り入ろうとしているのが見えた。「辰お兄さん、もう怒らないでください。井上家に謝罪したので、彼らは私の責任を追及しないと言ってくれました」
森川辰は不機嫌そうな顔をしていて、本来なら彼女を無視するつもりだったが、足音を聞いて栗原愛南が一緒に入ってくるのを見ると、驚いて立ち上がった。「栗原愛南、なぜうちに来たんだ?!」