栗原愛南の目に一筋の光が走り、人生に鮮やかな色彩を見出したような気がした。
自分の予想通りなのだろうか?
栗原奥様が本当の母親だったのか……
そう考えれば、広石宗大が栗原郁子を何年も脅迫し続けた理由も、広石博隆が栗原郁子は自分の人生を奪ったと言った理由も説明がつく。
栗原愛南は心の奥底に芽生えた希望の種が、突然地に落ち、急速に芽吹いたように感じた。
「あなたがそう言うなら、そうなんでしょう」
広石博隆が口を開いた。その瞳には安堵の色が浮かんでいた。
彼の突然の態度の変化に、栗原愛南は眉をひそめ、一瞬読み取れなくなった。
広石博隆という人物は、暗闇に潜む鼠のようだ。以前、広石宗大を殺した後、委屈そうで恐怖に震える演技をし、木村隊長も川内美玲さえも騙してしまった。
今の様子を見ると、栗原愛南には真偽が判断できなかった。
しかし、焦る必要はない。「広石博隆、本当かどうか、DNAテストをすればすぐにわかるわ。いくら隠しても、何の意味があるの?」
栗原愛南は背筋を伸ばし、目を細めた。「あなたはずっと、お父さんがあなたに良くしてくれなかった、多額の借金があったから殺したって言ってたけど、ずっと知ってたんでしょう?栗原郁子があなたのお父さんに強制されて家庭教師をしていたこと。お父さんが多額の借金を抱え、ギャンブル好きだったけど、あなたの何年分もの学費や生活費は、少なくとも確保されていたこと。そして最後に、お父さんがあの秘密をあなたに明かしたのも、あなたに栗原郁子を脅迫し続けさせるためだったこと……」
「だから、あなたは追い詰められて仕方なくじゃない。元々悪い種だったのよ……」
広石博隆はこの言葉を聞き終わると、突然顔を上げ、恐ろしい目つきで彼女を見つめた。
栗原愛南はすでに取調室を出て、川内美玲に頷いた。川内美玲は人を遣わして広石博隆を拘置所に入れた。
栗原愛南は尋ねた。「彼はどんな刑罰を受けるの?」
川内美玲は答えた。「死刑執行猶予でしょう。一般的に執行猶予になれば、死ぬことはないですね。最終的には終身刑になるでしょう」
「死なないならいいわ」
栗原愛南はゆっくりと言った。「もし私の推測が間違っていたら、最終的にはあの秘密を彼の口から聞き出さなければならない」