第189章 胸がドキドキする

栗原郁子はこの言葉を聞いて呆然としました。「何ですって?どうしてそんなことができるの!」

栗原愛南は冷笑して彼女を見ました。「どうしたの?心当たりがあるの?」

この言葉に森川辰と藤原美里は彼女を見つめました。

栗原郁子はすぐに言い直しました。「私に何の心当たりがあるというの?私には辰お兄さんしかいないわ。まさか子供が他の人のものだっていうの?ただ、あなたたちがあまりにも残酷だと思っただけよ。私の子供を傷つけただけでなく、こんな扱いをするなんて……」

彼女はお腹に手を当てて、涙ながらに言いました。「赤ちゃん、ママがあなたを守れなかったせいよ。いなくなっただけでなく、こんな屈辱を受けて、痛くないかしら……ママが力不足で……」

森川辰の目も赤くなり、拳を強く握りしめ、憎しみの眼差しで栗原愛南と森川北翔を見つめました。

栗原愛南は呆れたように口角を引きつらせました。「1ヶ月ちょっとの胚なんて、ただの細胞よ。痛覚神経さえまだ発達していないわ。栗原郁子、演技はやめなさい……」

栗原郁子はこの言葉を聞いて、表情が一瞬こわばり、そして唇を噛みしめ、栗原愛南を睨みつけました。

彼女はとても憎らしかった!

子供は確かに彼女が自ら堕ろしたものでした。森川辰と羊水検査に行くのを避けるためでした。

しかも京都の栗原家の人々がここにいて、明らかに彼女の味方をしてくれるはずです。そうであれば、もちろんこの機会に乗じて、栗原愛南をしっかりと押さえつけたいと思いました。

彼女を森川家から追い出し、さらには本家が森川北翔から森川グループの権利を奪い返すのを手伝えれば、それはいいことです。

ただ、森川北翔がこの売女をこれほどまでに守るとは思いもしませんでした!

病室内では、森川北翔がすでに優勢に立ち、ここを完全に支配していました。

しかし、そのとき、ドアの所から突然からかうような声が聞こえてきました。「森川北翔、やり方が強引すぎるんじゃないか!栗原奥様の部屋を押さえたのはまだしも、栗原郁子のところまで押さえるつもりか?本当に叔父さんを無視するつもりか?」

栗原井池がドアの所に現れ、彼の後ろにも数人のボディーガードがいて、すぐに森川北翔のボディーガードと対峙する状況になりました。