第216章 義理の娘

栗原愛南は静かに森川おばあ様の病室の前に立っていた。

  森川麻理亜と広石研究員がドアを開け、彼女を見ると、森川麻理亜は少し笑って言った。「伯母さん、何かご用ですか?」

  栗原愛南は率直に言った。「おばあ様とお話があるんです。少し開けてもらえますか?」

  森川麻理亜はこの言葉を聞いて、目が一瞬光った。

  そして彼女は笑いながら言った。「広石研究員が今、おばあ様の身体検査をしてデータを記録しているところなんです。今はちょっと都合が悪いんですよ!」

  「そうですか?」

  栗原愛南の目が冷たくなり、広石研究員を見た。

  広石研究員はノートを持って、威張った様子で彼女に頷いた。「はい、森川奥様にはご理解いただきたいところです。」

  栗原愛南は冷ややかに笑った。

  森川麻理亜は部屋の中を見回し、突然バルコニーにある一鉢の花に目を留めた。彼女は少し笑って広石研究員に言った。「広石研究員、私のおばあ様の病室にカトレアを置いてもいいですか?」

  この言葉を聞いて、佐藤はすぐに慌てて言った。「あのカトレアはおばあ様が一番お好きな花で、この鉢は彼女が育てた最高品質のものです!もし売りに出したら、数百万円の価値があるんですよ!」

  森川麻理亜の目が一瞬光った。

  もちろん彼女は知っていた。小島奥様もカトレアが好きだったことを覚えていて、このカトレアを彼女にプレゼントすれば丁度いいと……

  そう考えて、森川麻理亜は広石研究員に目配せをした。

  広石研究員は咳をして言った。「確かに、カトレアを部屋に置くのはあまり良くありませんね。おばあ様の休息に影響しますし、データ収集にも支障が出ます。」

  森川麻理亜はすぐに言った。「じゃあ、とりあえず私の部屋に移しましょう。」

  彼女が手を振ると、本家に残って彼女の指示を待っていた家政婦がすぐに花を運びに行った。

  佐藤は困った表情を浮かべ、助けを求めるように栗原愛南を見た。

  栗原愛南は目を伏せ、この森川麻理亜が本当に威張っていると感じた。

  一鉢のカトレアが、おばあ様の病状に何の影響もないのに、そんなに大げさに言う必要はない。ただおばあ様のものを横取りしたいだけじゃないの?

  でも……彼女は顎に手を当て、少し考えてから、体を横に寄せた。