第290章 紀田杏結の選択!

栗原井池はこの言葉を聞いて少し驚いた。「つまり、愛南自身が離婚したいということですか?」

  話がここまで来たので、紀田杏結も本当に栗原井池が手を出して、南條テクノロジー株式会社の契約問題を解決してしまうのではないかと心配になった……

  紀田杏結はため息をついた。「はい、これは私と愛南が演じた芝居なんです。」

  彼女は愛南が結んだ婚前契約について簡単に説明し、そして直接言った。「私たちは張本朔に難しさを知って諦めさせ、一文無しで出て行かせ、会社と娘の親権を全て愛南に渡したいのです。」

  これらを言い終えた後、紀田杏結は続けて言った。「だから、助けに入らないでください。」

  しかし栗原井池は冷笑した。「紀田お嬢様、このような拙劣な嘘を信じると思いますか?」

  栗原井池は愛南について調査したことがあった。彼女は大学時代から恋愛脳で、当時張本朔のために養父母と仲たがいしそうになり、後に張本朔のために親友の紀田杏結とも仲たがいしてしまった……

  しかも最近、彼は常に愛南を見張らせていて、彼女がその小三と張本朔を奪い合うために、家でも我慢を重ね、張本朔の母親を快適に世話をして、張本朔の母親さえも彼女を手放したくないほどになっていることを知っていた……

  このように心の中が全て張本朔のことで一杯の人が、離婚したいなんて栗原井池がどうして信じられるだろうか?

  しかも紀田杏結の立場では紀田グループの訴訟を取り下げさせるには不十分だ。そしてすでに訴訟が起こされている以上、たとえ愛南が本当に張本朔を一文無しにしたとしても、あの会社と別荘を全部売っても2000万円には足りない。

  だから、もし本当に愛南自身がこのような策略を立てたのなら、愛南は何を狙っているのだろうか?

  論理的に全く通じない!

  紀田杏結は説明しようとしたが、自分の言葉が信じてもらえないことも分かっていた。

  結局、彼女のような親友を最もよく知る人でさえ、今までずっと愛南が本当に張本朔を手放したのかどうか疑っていたのだから。