第328章

この言葉に栗原由奈と栗原美悠纪は呆然とした。

  二人は揃って森川北翔を見た。

  しかし、彼女たちにそのように見つめられ、指さされても、この大学生は相変わらず落ち着いて座っており、目の前のお茶をじっと見つめ、彼女たちを一瞥もしなかった。

  栗原由奈は目を輝かせ、思わず栗原美悠纪を見た。「美悠纪、このイケメンは出身はあまり良くないけど、顔立ちはなかなかいいわ。もし森川北翔が彼くらいの顔だったら、きっと容姿端麗よ!あなた、今回大当たりね!」

  栗原美悠纪も満足げな表情を浮かべた。

  その時、遠くから突然低い「オエッ」という声が聞こえた。

  二人が振り向くと、紀田杏結の顔色が突然変わり、胸を押さえて一度吐き気を催し、すぐにトイレに駆け込むのが見えた。

  二人は嫌そうに口を歪め、再び振り向くと、目の前にいたはずの栗原井池の姿が消えていた。