第376話

栗原刚弘は自分がかなり譲歩したと思っていたので、愛南がここで空気を読んで協力してくれるはずだと考えていた。

しかし、栗原愛南は相変わらず彼をじっと見つめながら言った。「私が彼を連れ出して叱ったのは、クラスメートの絵を破り捨て、教室で暴言を吐いたからです。別室で注意するのは、教師としての責任と義務です!子供を学校に送り込むのは、教師に教育を任せるためではないのですか?」

栗原愛南は栗原由奈の方を向いて続けた。「親が子供をきちんと教育できていないから、学校で横暴な振る舞いをする。だから教師として、しっかりと指導しなければならないのです!」

栗原刚弘は怒りで顔が青ざめた。

生田ちゃんがどんな子供か、彼にもわかっていた。やんちゃで、手に負えない子供だ。でも栗原由奈が栗原家の娘である以上、仕方がない。

子供の教育は親がすべきで、他人に任せるべきではない!

それに……

栗原刚弘は愛南を睨みつけながら言った。「あなたの指導とは、彼を脅して、中庭で泣かせ、夜に帰って吐かせることですか?これは体罰です!」

栗原愛南はその言葉を聞いて、嘲笑うように言った。「言ったでしょう。彼が吐いたのは病気、脳腫瘍のせいで、私とは関係ありません。人の話が理解できないんですか?」

「お前…!」

栗原刚弘は手が震えるほど怒っていた!

しかし、生配信中なので、体面を保たねばならず、手を出すわけにはいかない。もし暴力を振るえば、彼らの方が非になってしまう!

栗原刚弘が黙っていると、栗原由奈が口を開いた。「愛南、私の息子は健康そのものよ。半年ごとに健康診断を受けているし、家にはホームドクターもいる。病気かどうかは、あなたより私の方がよく分かっているわ。そんな出鱈目を言わないで。自分の言い訳を作っているだけじゃない!」

栗原由奈は泣き出した。「私とあなたの間に個人的な恨みがあるからって、どうして子供を巻き込むの?子供は無実なのよ!」

彼女が泣き出すと、配信のコメント欄は一気に荒れ始めた:

——なるほど、子供の親と先生の間に確執があったのね!

——ああ、殴りに行きたい!自分の子供のことを、あなたより親の方が心配してるに決まってるでしょ?ひどすぎる!

——こんな人、教師失格よ。さっき南條会長って呼ばれてた?じゃあ理事長なのね。どこの幼稚園?通報しましょう!