第374章

栗原家で唯一大魔王の栗原井池を制御できる人物は、栗原叔父さんだけだった。

栗原刚弘はそう考えていた。

しかし、二歩歩いたところで足を止めた。

眉をひそめ、突然アシスタントに向かって言った。「昨夜、兄貴は新婚の夜に飲みに出かけたけど、今夜は義姉さんは帰ってきたのか?」

アシスタントはすぐに首を振った。「まだです。」

栗原刚弘は即座に躊躇した。

兄と義姉の間には何か様子がおかしい。二人はお互いを気にかけているのに、何か気まずさがあるようだ。今、叔父さんに告げ口をすれば、二人の間の溝が深まってしまうのではないか?

しばらく考えた後、最後にこう言った。「やめておこう。明日、幼稚園に行く!」

……

紀田杏結は確かに帰宅していなかった。

彼女と井上斉子は南條家に泊まっていた。もともと余裕のない家がさらに手狭になり、二つのゲストルームは満室だった。

森川北翔は不満げで、就寝時に我慢できずに言った。「彼女たち、家がないのか?」

栗原愛南はパソコンを見ながら、キーボードをカタカタと打っていた。何かを書いているようだが、その言葉を聞いても無視した。

森川北翔はゆっくりと栗原愛南の後ろに歩み寄り、文書のタイトルが目に入った:幼稚園改革計画。

その下には現在の幼稚園の問題点が列挙され、一連の新しいルールが定められていた!

最初に提案されたのは、各教室でのお菓子の持ち込み禁止だった。

そんな幼稚園はどこにもない!

森川北翔は彼女が真剣に仕事に取り組む様子を見て、思わず尋ねた。「そんなに熱心なの?」

栗原愛南は頷いた。「引き受けた以上は真剣にやらないと。それに雪音はもうすぐ3歳になるし、いずれは学校に行かなければならない。優れた環境を作らなければ、安心できないでしょう?」

森川北翔は頷き、もう止めなかった。

栗原愛南はそういう人だった。何をするにも真剣に責任を持って取り組む。

だからこそ、以前アルバイトをしていた時も、修理工や料理人、宅配員など...どれも最後には大きな成功を収めることができたのだ。

森川北翔は彼女を見ながら、きっとまだ自分の知らない彼女の一面があるはずだと感じていた。

栗原愛南がようやく文書を書き終え、最新の規則を定めた後、大きく伸びをした。

森川北翔は即座に熱い視線を向けた。