第421話

栗原愛南は写真に写っているあの見慣れた姿を見て、瞳孔が微かに縮んだ。

これは...これは...師匠ではないか?

彼女は即座に固まり、栗原刚弘の方を見つめ、彼の言った言葉を思い出した。

大先輩は十五歳で入門し、掌門について毎日二時間武術の稽古をしていた...

大先輩は幼い頃から生活環境が悪く、殴られることに慣れていて、優れた体格を身につけていた...

掌門は修行の旅に三年出かけ、数年前に戻ってきて、大先輩は二十三歳になったら山田家に戻ると言っていた...

師匠も言っていた、二十三歳になって大学を卒業したら、迎えに来ると...

ということは...

つまり...

山田家の大先輩というのは、自分自身だったということ?!

栗原愛南はゆっくりと栗原刚弘の方を見つめた...

山田家での試合のたびに、負けるのではないかと戦々恐々としていたのに、毎回簡単に勝ってしまっていたことを思い出して...