第419章

栗原愛南はその言葉を聞いて、すぐに入り口の方を見た。

なぜかわからないが、掌門の声は前回と同じように少し掠れていて、何か聞き覚えがあるような気がした。

特にその生意気な口調は...まるで老いた子供のような感じで...

師匠もよくこんな話し方をしていたような?

彼女が考え込んでいると、見覚えのある人影が入り口に立っていた!

掌門は灰色の練功服を着て、短い髪は荒々しく、背後で手を組んで立っていた。

栗原愛南には彼の顔がよく見えなかった。なぜなら...掌門は背を向けて手を後ろで組んでいたからだ。まるで武道界の達人のような姿だった!

栗原愛南は口角を引きつらせた。

栗原刚弘はすぐに彼女の耳元に寄って囁いた:「掌門がまた気取っているよ。」

栗原愛南:?

木村奥様も彼を見て、すぐに冷笑した:「山田師範、私が来てから十分も経つのに、あなたの到着は本当に早いですこと!!」

明らかな皮肉な言葉なのに、掌門はそれを聞き流したかのように笑って言った:「いやぁ、年は取りましたが、やはり武道をやっている身ですから、皆さんより足が早いのは当然でしょう!」

木村奥様は綿を殴るような虚しさを感じた。

彼女は深く息を吸い、そして栗原愛南を指差して:「掌門、先ほどの発言は一体どういう意味ですか、この外門弟子を庇うつもりですか?」

「まさか!」

掌門はすぐに否定した、「山田家の事は、必ず門規に従って処理しなければなりません!どうして私情を挟むことができましょう?!」

木村奥様の表情が少し緩んだ。

しかし続けて掌門の言葉が聞こえてきた:「私はただ木村旭の名誉のことを考えているのです。彼は五師弟の記名弟子で、この数年間京都で大変な名声を得ていました。皆さん彼の武道が素晴らしいと思っているのです。もしこの外門の女の子を罰したら、外門弟子に虐められたという事実が広まってしまうではありませんか?木村旭君、本当に面子を捨てるつもりですか?」

この言葉に木村旭は少し戸惑った。

彼は世間で名を売るために、面子を重んじていた!

だからこそ紀田杏結と寝たと言い張っていたのも、ただ外で自慢したかっただけではないか?

彼が殴られたことは、まだ広まっていない......

もし皆に知られたら、確かに面目を失うことになる。