第457章

木村旭は急いで尋ねた。「何なんですか?」

木村奥様は眉をひそめ、しばらくしてから口を開いた。「私たちが来る前に、ここには多くの人が出入りしていたはずよ。その時に出て行ってしまったのかしら?」

木村旭はすぐに言った。「入り口に監視カメラがありますから、その時間帯を調べさせましょう!」

木村奥様は苦笑いを浮かべた。「この病棟には複数の出入り口があるわ。調べるのにはかなり時間がかかるでしょうね。」

木村旭は焦った。「でも調べなきゃ!」

木村奥様は彼を見つめた。「もちろん調べるわよ!何を焦っているの?」

木村旭は俯いた。「やっと妹の手がかりが見つかったからですよ。」

木村奥様は何故か、突然栗原愛南とさっき帰った木村知念という少女のことを思い出した……

彼女は突然眉をひそめ、まさか彼女ではないと思いながらも、木村旭に一言注意した。

「これからはさっきのような女の子をいじめないで!わかった?」

木村旭は口を尖らせた。「僕は彼女をいじめたことなんてないですよ。あんな身分の低い、抵抗する力もない女の子を、僕が何でいじめる必要があるんですか?ただ彼女が木村旭を怪我させたから……」

……

病院では大騒ぎになり、病棟をひっくり返すほどの捜索が行われていた。

栗原愛南と森川北翔は車で南條家に戻った。

「木村家とこんな風になってしまって、どうやって協力関係を築けばいいの?」

栗原愛南は心配そうに言った。「もし協力が成功しなければ、南條家の任務を完了できないし、お母さんを救うこともできない……」

森川北翔は目を細めた。「何か方法を考えてみよう。」

どうしてもダメなら、特別な手段を使うしかない!

木村家を買収して、それから栗原愛南と協力すればいい。

栗原愛南は彼を横目で見た。「森川家が京都に引っ越してから、まだ帰ってないでしょう?そろそろ帰って様子を見た方がいいんじゃない?二房に森川グループを乗っ取られないように。」

森川北翔は目を伏せ、冷たい瞳に鋭い光が走った。「彼らが欲しいなら取ればいい。それだけの力があるかどうかだけの問題さ。祖母のことがなければ、森川グループなんて私が継ぐ気なんてないよ。」

小さな森川グループなど、彼の望むものではなかった。

栗原愛南はその言葉に一瞬止まった。「今何て?」

森川北翔の瞳が揺らめいた。「なんでもない。」