しかし、彼の後ろで、栗原愛南は優しげなパジャマ姿で立っていた。彼女は小さな誕生日ケーキを手に持ち、笑顔で立っていた。
彼が振り向いた瞬間、時刻は深夜を過ぎ、新しい一日が始まっていた。
栗原愛南は口を開いた。「森川北翔、お誕生日おめでとう」
彼女の笑顔は甘く、そして誠実で、森川北翔は一瞬目を奪われた。
彼は呆然と栗原愛南を見つめた。「知っていたのか?」
「もちろんよ」
栗原愛南はゆっくりとケーキを持って前に進んだ。「忘れないでね、私の記憶力はとても良いの。あの時、婚姻届を出した時に、あなたの身分証明書の番号も全部覚えちゃったわ」
森川北翔は驚いた。「じゃあ、今日は...」
ここまで言って、突然何かに気付いたように「わざとだったのか?」
栗原愛南は笑いを堪えながら、さらに前に進み、ケーキをテーブルに置いた。そして手品のように、ポケットから小さな箱を取り出して彼に渡した。「プレゼントよ」