第567章

栗原愛南は即座に手を伸ばした。

その写真は小さく見え、かなり古いもので、白黒写真だった。

しかし、彼女の手が写真に触れる前に、突然誰かの手が伸びてきて、写真を奪い取ってしまった!

栗原愛南が急いで振り向くと、南條真美が写真を手に持ち、ちらりと見ただけで冷笑した。「この写真は、彼女に見せてはいけない!」

斎藤真司の顔色が更に暗くなった。「真美、やり過ぎだぞ!!」

斎藤愛南も怒り出し、両手を腰に当てた。「真美、これは兄さんが私にくれた写真よ。南條お姉さんに見せるのに、あなたに何の関係があるの?写真を返して!!」

南條真美はその写真をちらりと見て、栗原愛南を見つめた。「言ったでしょう、見せちゃダメなものは見せない!」

「あなた...!」

斎藤真司が南條真美から写真を奪おうとした時、斎藤お爺さんが大股で歩いてきた。「何が起きている?!」

彼が現れると、その場は一瞬静まり返った。

南條真美はすぐに言った。「お爺さま、あなたの大切なお孫さんが私たちの婚約を破ろうとして、栗原愛南とイチャイチャしているんですよ。何も言わないんですか?」

斎藤お爺さんはこの言葉を聞いて眉をひそめ、斎藤真司と栗原愛南の方を振り返った。

斎藤真司はすぐに説明した。「お爺さん、私と栗原お嬢様は何も怪しいことはしていません。ただ堂々と話をしていただけなのに、真美が許してくれないんです。彼女は横暴すぎます!」

この言葉を言えば、お爺さんが自分の味方をしてくれると思っていたが、斎藤お爺さんは眉をひそめただけで、むっつりと言った。「もう婚約式を控えているのに、まだ彼女とごちゃごちゃしているのか?何事だ!」

斎藤真司の表情が凍りついた。

南條真美は笑みを浮かべた。「斎藤お爺さま、私たちが婚約することになったからには、栗原家に対して...態度を示すべきではないでしょうか?」

斎藤お爺さんは眉をひそめた。

栗原井池はすぐに一歩前に出た。「お爺さま、それは必要ないでしょう?私たち二つの家族には恨みも怨みもないのですから、若い世代の問題を家族全体の問題にする必要はありませんよ。」

斎藤お爺さんはこの言葉を聞いて、軽くため息をついた。