栗原愛南はその名前を追って、後ろの方を調べてみた。
思わず苦笑いしながら森川北翔を見た。
森川北翔は咳払いをして、「その人は愛南という名前で、名前と時期は確かに一致しているんだ」と言った。
栗原愛南は目を白黒させそうになった。「でも彼女は斎藤姓で、斎藤真司の実の妹よ!!」
そうだ。
斎藤真司の周りの女性たちの名簿の中で、斎藤愛南だけが名前に「愛」の字が入っていた。
しかし皮肉なことに、斎藤愛南だけは斎藤真司と結婚するはずがない人物だった。
栗原愛南は額に手を当てながら、もう一度名簿を上から下まで見渡した。名簿には女性がかなり多く載っていて、京都のきひめたちの中には既に進路が決まっている者もいれば、まだ調査中の者もいた。
森川北翔は咳払いをして、「考えてみれば、あなたたちの名前には皆『愛』という字が入っている。それは南條家の印なのかもしれない。だとすれば、相手がそんな形で身元を露呈するはずがない」と言った。