第605章 南條家の由来

栗原愛南と森川北翔は、斎藤家の書斎に座っていた。

斎藤お爺さんは既に斎藤真司と斎藤愛南を部屋から追い出し、さらに人を呼んで門の外で見張りをさせていた。

斎藤お爺さんは入り口で何度も確認し、誰も彼らの会話を盗み聞きできないことを確かめてから、ようやく栗原愛南の前まで歩み寄った。

彼のこの重々しい様子を見て、栗原愛南は思わず姿勢を正した。

斎藤お爺さんはそれを見て尋ねた。「本当に南條家のことを覚えていないのかい?南條真美はよく覚えているようだが!お前たちは五歳までは南條家で過ごしたと聞いているが?」

栗原愛南は斎藤お爺さんに姉のことを説明しなかった。この老人に、もう一人の孫娘がいたが既に亡くなっていることを知らせたくなかったのだ。

彼女は直接答えた。「はい、幼い頃に熱を出して、目が覚めたら記憶がなくなっていました。ただ、私に南條家の情報を伝える守護者がいることだけは知っています。私の養父母は南條家の使用人でしたが、早くに亡くなり、それに私は平凡な才能しかなく、平凡な人生を送るつもりでしたので、南條家のことはあまり話題にしませんでした。」