第613章 山田家の大先輩!

川内美玲はその言葉を聞いて怒りと共に笑ってしまった。「お爺さんの件はまだ判決も出ていないのに、藤原家の皆さんはそんなに急いで私を追い出したいんですか?」

藤原夏菜子は顔色を変えた。「何を言い出すの?!私たちには私心なんてないわ!」

「そうかしら?」

川内美玲は直接的に言った。「私が特務機関に入った初日から、あなたは私に敵対的だったわ。今回やっと私の弱みを掴んだってわけね?でも藤原夏菜子、あなたと私は同じ階級よ。私を解雇する権限なんてないはずよ!」

彼女は周りの職員たちを見渡しながら言った。「川内家を追い出したいなら、はっきり言えばいいじゃない。私たちは権力に執着する人間じゃないわ。こんな手段を使う必要なんてないでしょう!」

藤原夏菜子は言葉に詰まった。

何か言おうとした時、落ち着いた声が聞こえてきた。「姪っ子よ、その言い方は間違っているな」

皆が振り向くと、中年の男性が大股で歩いてきた。彼は笑みを浮かべていたが、目には威厳が隠されており、笑顔の虎のように、侮れない存在に見えた。

藤原夏菜子は来訪者を見て、すぐに叫んだ。「お父さん!」

栗原愛南はすぐに理解した。この人物が特務機関の副責任者で、藤原夏菜子の父親、川内お爺様が退職した後にその地位を狙っている人物、藤原部長だった。

藤原部長は藤原夏菜子のその呼び方を聞いて、すぐに表情を変えた。「会社では職位で呼びなさい!」

「はい、藤原社長」

藤原夏菜子は急いで言い直した。

特務機関は特殊な状況のため、この部門は会社と呼ばれ、内部の職員も一般企業と同じような呼び方をしていた。そのため、上層部は会長や社長と呼ばれていた。

川内美玲はそれを聞いて、すぐに反論した。「藤原社長?副社長の間違いじゃないですか?」

藤原夏菜子はすぐに顎を上げた。「あなたのお爺さんが事件を起こした後、上層部が私の父を一時的な代理に任命したの。だから今は、父が藤原社長よ!」

川内美玲は反論した。「正式な任命書もまだ出ていないのに、そんなに急いでいるの?」

藤原夏菜子が何か言おうとしたとき、藤原部長が口を開いた。「川内君の言う通りだ。これからも副社長と呼ぶべきだな」

藤原夏菜子は口を尖らせ、不本意ながら頷いた。