栗原愛南はすぐに尋ねた。「川内さんの罪状は本当なのですか?」
川内美玲は直接答えた。「上からの使者が伝えてきたところによると、お爺さんは既に罪を認めたそうです。でも私は信じられません。お爺さんに会いに行きたいんです…」
川内美玲の声には悲しみが滲んでいた。
栗原愛南は彼女の今の気持ちがよく分かった。
二人は中学校の同級生で、幼い頃から、彼女は川内美玲に正義感を感じていた。当時は彼女の家系が代々法医学者だと思っていて、彼女がお爺さんの話をする時はいつも誇らしげな表情を浮かべていた。
特務機関の存在は対外的に秘密とされていたため、彼女のお爺さんは京都の法医学者という対外的なイメージだった。川内美玲は毎年休暇になると京都のお爺さんを訪ねていき、帰ってくるたびに思想的な薫陶を受けたような様子だった。
愛国という二文字は、彼女の骨の髄まで刻み込まれていた。
なぜなら、彼らの家系は先祖代々そのように受け継がれてきたからだ。
人の善し悪しは、家庭環境にも関係があり、幼い頃から受けた教育にも関係がある。栗原愛南は彼女と長年の付き合いがあり、川内美玲のすべての正直さと正義への執着が演技ではないことをよく知っていた。
だからこそ彼女は、自分が誇りにしていた、さらには幼少期のアイドルでもあったお爺さんがスパイだったということを受け入れられないのだ…
栗原愛南も信じられなかった。
大人になってから演技をすることはできても、子供の頃の心が正しいか歪んでいるかは演技できないものだ…
川内美玲のような性格と崇高な理想を育てたお爺様が、どうしてスパイなどであり得るだろうか?!
しかも自ら認めたというのに…
栗原愛南は目を細めた。「慌てないで、すぐに行くわ。」
電話を切ると、斎藤愛南の方を見た。彼女はまだ手羽先を美味しそうに食べていた。
栗原愛南は表情を曇らせた。「斎藤お爺さんを告発したのは、あなたの仕業なの?」
「そうでもあり、そうでもない。」