第679章

森川辰は困惑した。「どういう意味ですか?」

森川北翔は何も言わなかった。

傍にいた栗原愛南はその言葉の意味を理解していた。

おばあ様がいなくなった日、つまり森川家の本家が追い出された日、森川元碩の破産は時間の問題だった……

でも以前は、森川北翔はおばあ様に対して少し後ろめたさがあったかもしれない。結局のところ本家の処理をしなければならなかったから。でも今は……

栗原愛南は森川辰を見つめた。

先ほど森川北翔が突然、森川辰への投資を彼女と一緒にすると言った瞬間、彼女は森川北翔の意図を理解した。本家は没落しないだろう。

結局のところ、本家にはまだ森川辰がいるのだから。

森川北翔の森川辰に対する態度、本家に与えるべき株式を森川辰に与えれば、すべてが完璧になる。

残念ながら森川辰は彼の言葉を理解していなかった……