第718章

二人が立ち去ると、森川おばあ様は後ろで口を尖らせた。

何様のつもり?私の孫嫁に命令するなんて!

吐き出されても当然よ!

森川おばあ様はそう思いながら、うがいをしようと手を伸ばしたが、コップを倒しそうになった。

次の瞬間、白い手が彼女のためにコップを取った。

森川おばあ様が振り向くと、栗原愛南が傍に立っていた。

森川おばあ様はすぐに知らない振りをして「まあ、きれいな娘さん。あなたは誰?」

「私はノラです。おばあ様が飲んでいる薬は私が開発したものです。私も北翔も、もう大丈夫だとわかっています。演技はもういいでしょう」

栗原愛南は諦めたように、コップを森川おばあ様の手に渡した。

森川おばあ様は苦笑いして「あなたね、気づいても知らないふりをしてくれればいいのに」

栗原愛南は紙を取り出し、おばあ様の口を拭きながら「どうしてこんなことを?残された時間を、みんなで楽しく過ごせばいいじゃないですか」