第723話

部屋の中。

森川元碩は森川おばあ様をトイレまで付き添っていた。

途中で、森川おばあ様は突然立ち止まり、森川元碩を見つめて言った。「孫よ、おばあちゃんがなぜ北翔を好きで、あなたを好きじゃないのか分かる?」

森川元碩は一瞬固まった。「おばあ様、何を仰っているんですか?森川北翔のことを思い出したんですか?」

森川おばあ様は微笑んだ。「私が北翔のことを忘れるはずがないでしょう。」

その言葉を聞いて、森川元碩は呆然とし、信じられない様子で彼女を見つめた。「どういう意味ですか?」

そして何かを悟ったように、怒りを込めて言った。「この間ずっと演技していたんですか?」

「ふふふ。」

森川おばあ様は笑いながら、彼の腕から手を離し、ため息をついた。「以前は私もいつも自問自答していたわ。北翔のために、本家に機会を与えないのは良くないのかって。」

森川おばあ様は震える手で近くの杖を掴んだ。「だからこの期間、あなたたちに機会を与えたのよ。」

森川元碩はすぐに口を開いた。「おばあ様、本家は本当に誠心誠意お世話させていただいています。機会を与えていただいたからこそ、それがお分かりになったはずです。」

森川おばあ様は笑った。「ええ、分かったわ。あなたたちが私の株式を欲しがっているということがね。」

森川元碩は言葉に詰まった。

森川元碩は一瞬言葉を失い、再び話し始めた。「本家は本当に誠意を持ってお世話しています。長老としてあまりに偏り過ぎるのはよくないでしょう。」

森川おばあ様はため息をついた。「ああ、孫よ、分かっているのかい?北翔が私を見る目には、いつも誠実さがあるの。彼の目と心には私という人間しかない。株式なんかじゃないわ。でもあなたと三男、それにあなたの私生児の目には、貪欲さしかない。見ているのは私の株式だけ。私はまだそこまで目が曇っていないわ。あなたたちがどんな人間かぐらい分かるわ。」

森川元碩は怒り出した。「何が言いたいんですか?」

「つまりね、実は子供の頃から、あなたが十四歳でこの家に入った瞬間から、私があなたを初めて見た時から、私は分かっていたの。私たち二人には縁がないってね。なぜなら、あなたの目があまりにも打算的だったから。」