部屋の中。
森川元碩は森川おばあ様をトイレまで付き添っていた。
途中で、森川おばあ様は突然立ち止まり、森川元碩を見つめて言った。「孫よ、おばあちゃんがなぜ北翔を好きで、あなたを好きじゃないのか分かる?」
森川元碩は一瞬固まった。「おばあ様、何を仰っているんですか?森川北翔のことを思い出したんですか?」
森川おばあ様は微笑んだ。「私が北翔のことを忘れるはずがないでしょう。」
その言葉を聞いて、森川元碩は呆然とし、信じられない様子で彼女を見つめた。「どういう意味ですか?」
そして何かを悟ったように、怒りを込めて言った。「この間ずっと演技していたんですか?」
「ふふふ。」
森川おばあ様は笑いながら、彼の腕から手を離し、ため息をついた。「以前は私もいつも自問自答していたわ。北翔のために、本家に機会を与えないのは良くないのかって。」