結局、彼女も味方じゃない

天野奈々は二人を一瞥してから、落ち着いて再び背を向けると、淡々と一言放った。「私はファーストクラスよ。」

天野奈々の後ろについていた中村はプッと笑い出し、同じく手にしたチケットを振りながら言った。「申し訳ありませんが、私たちもそうなんです。お二人はビジネスクラスでゆっくり楽しんでください…」

小林真弓は搭乗時に自分のクラスがアップグレードされていたことに気づいたが、今の雨野柔子の呆然とした表情を見て、かなり気分が良かった。初めて、芸能人のマネージャーである彼女が、社長よりも良い待遇を受けたのだ。

雨野柔子は彼女たち三人がファーストクラスに入るのを見て、困惑して冬島翼を見た。「これはどういうことなの?このフライトのファーストクラスはもう満席だって言われなかった?天野奈々のチケットは会社が予約したんじゃないの?」