結局、彼女も味方じゃない

天野奈々は二人を一瞥してから、落ち着いて再び背を向けると、淡々と一言放った。「私はファーストクラスよ。」

天野奈々の後ろについていた中村はプッと笑い出し、同じく手にしたチケットを振りながら言った。「申し訳ありませんが、私たちもそうなんです。あなたたちはビジネスクラスでゆっくり楽しんでください…」

小林真弓は搭乗時に自分のクラスがアップグレードされていたことに気づいたが、今の雨野柔子の呆然とした表情を見て、かなり気分が良かった。初めて、芸能人のマネージャーである彼女が、社長よりも良い待遇を受けたのだ。

雨野柔子は彼女たち三人がファーストクラスに入るのを見て、困惑して冬島翼を見た。「これはどういうことなの?このフライトのファーストクラスはもう満席だって言われなかった?天野奈々のチケットは会社が予約したんじゃないの?」

「私にもわからない」冬島翼は恨めしげに言った。

「腹が立つわ!」雨野柔子はまだ天野奈々に自分と冬島翼の愛を見せつけようと思っていたのに、彼女がファーストクラスに行ってしまったことに憤慨した。

天野奈々はファーストクラスも満席だと思っていたが、三人が入ってみると、彼女たち以外に他の乗客は全くいないことがわかった。

「天野さん、あのクズカップル、後からアップグレードしてここに来たりしないよね?」ファーストクラスは全て引き戸付きの独立した空間だったが、中に誰もいないことが見えたので、中村は少し不安になった。

「お客様、ご安心ください。墨野様が天野様のご休息を妨げないよう、このフライトのファーストクラス全体を貸し切られました。他のお客様が入ることはありません。」客室乗務員が親切に中村に説明した。

客室乗務員の言葉を聞いて、中村は頭を抱えて、爆発しそうになった…

「天野さん、あなた運が良すぎるわ!」