「でも冬島翼に会いに行く前に、あなたがまずやらなければならないことは…」
「後で、中村さんに警察署に同行してもらって被害届を出し、弁護士に依頼して声明を出してもらいます」天野奈々は墨野宙の意図を理解した。「天野奈々が枕営業をした」という4文字がますます悪化する状況下で、抑止力として機能するのは警察しかない。
「あなたの立場をしっかり固めないといけない。そして、一歩一歩あなたの潔白を証明していく。恐れないで…」墨野宙は天野奈々の髪を撫でた。「何が起こっても、僕はあなたのそばにいる」
「わかってる」天野奈々は安心させるように墨野宙に微笑んだ。3年前にスターキングから活動停止を宣告され、一夜にしてトップモデルから谷底に落ちた時に比べれば、この程度の挫折など何だというのだろう?